チ リ 編 〜 そ の 1
チ リ ま で の 道 の り
チリの牡蠣事情を説明するには、チリの概況を知る必要がある。チリは日本から遠い国である。チリに行くにはアメリカのニューヨークかロスアンゼルス、ダラス、フロリダ等を経由していかねばならない。
日本からの直行便はない。成田からニューヨークまで約12時間30分、ここで乗り換えてチリ航空LAN、大体アメリカン航空AAと共同便が多いが、チリのサンティアゴまで約11時間50分、合計24時間20分が機上での時間。乗り換えに要する時間を考えると27から31時間かかる。
ジ ョ ン ・ F ・ ケ ネ デ ィ 空 港 で L A N チ リ 航 空 に 乗 り 換 え
今回はニューヨークで一日滞在し、翌日再びジョン・F・ケネディ空港に向かった。ターミナルは4番、LANチリ航空の名前があり、サンティアゴ行きのエァ便が表示されているところはペルー人で一杯。途中にペルーのリマを経由していくためだ。ペルー人の荷物はすごい。大きな布袋をひとりで三つも持って、それに加えて手荷物バック。ニューヨークから久し振りに帰るので、お土産がすごいのだろう。親戚兄弟へのお土産が多いのだ。すごいなぁと呆然と見ていると、もっと驚いたことが発生した。ペルー人の女性がチェックインしたはずの機内預けの大きな袋、それをまた手押し車に戻して積んでいる。
どうなっていのだ。機内に預かってくれないのか。おかしい。見ていると他の人たちも同様である。この理由が、ようやく自分の手続き順番が来て分かった。機内預け荷物はゲートに入る直前に検査受け、それから機内に運ばれるのだということが。更に驚いたのは座席指定が出来ない。通路側にしてくれと申し入れたら、ゲートだ、という答え。ウーン、いろいろ日本とは異なる。だが、こんなことで驚いてはいけない。とにかくチリまで行くことが目的だから、LANの言うとおりにしてゲートに向かった。
ゲートで待っていると乗り入れ案内アナウンスがあった。最初はスペイン語。何だか分からない。次に英語。もう既にペルーとチリになっている。普通はその国の言葉から始めるものだ。つまり、英語のアナウンスからだ。ようやくゲートカウンターで座席指定してもらう。ところがリマまでと、リマからサンティアゴまでの座席が異なっている。一枚のチケットに二つの座席が書かれている。手書きで!!。
サンティアゴ
(アンデス山脈)
無事定刻にNYを出発した。途中リマで約一時間駐機し、ドヤドヤと降りたペルー人の後に、どっとチリ人が乗り込んで満員。どうやらヨーロッパからチリに行く人たちらしい。ここから三時間でようやくサンティアゴのアルトゥロ・メリノ・ベニステ空港に到着した。ここは2001年に完成した近代的空港である。
さて、この新空港から表に出て見てビックリした。眼を東側に向けると、白く高く連なる山並みが街を見おろしている。素晴らしい。一瞬疲れを忘れさせる。アンデス山脈である。サンティアゴは人口550万人の大都市でありながら、南北アメリカ大陸最高峰のアコンカグア(6960m)を含む、アンデス山脈が街の中心から80KMという近さに聳え連なっている。特に今は冬、それが白銀に覆われている。その姿はヨーロッパのスイスに来たと勘違いさせるほどの美しさだ。
チ リ 編 〜 そ の 2
タ ク シ ー に 注 意
午前11時過ぎにサンティアゴに着いて、空港から街中のホテルに向かうのであるが、ここでのタクシーは事前にチケットを買って乗るようにしたい。白タクが多く、いかさまが多いので注意。専用カウンターがあるのでそこでホテル名を伝え、その場で支払うとタクシーに案内してくれる。
ホテルに着いて少し休んで昼食に行く。こちらの昼食は早くて13時、普通は14時ごろからだ。早速に地元の人が牡蠣バーに連れて行ってくれる。着いてすぐでは疲れているが、期待のチリ牡蠣を食べたいので向かう。
牡 蠣 バ ー
まず、生鮮市場を案内してもらって、その後に牡蠣店へ。市場は野菜・果物の種類が多い。魚の種類は少ない。さて、牡蠣バーはOSTRAS MARISCOSとある。つまり、牡蠣と貝類の店ということ。これが入り口の看板にある表示だ。店名はBahia Pilolcura バイヤ(海・ベイ)・ピオルリラ(南の方のベイの地名)という。
入ってみると一生懸命男が牡蠣剥きしている。チリ牡蠣だ。小粒である。それを中年の女性が見守って待っている。30000ペソほど買うという。日本円で6500円程度になる。こちらの物価水準と所得水準を考えると随分高いと感じる。ここでも牡蠣は高級な食べ物なのだと分かる。
牡 蠣 剥 き 専 用 機 械
(専用牡蠣剥き機)
牡蠣剥きは専用の道具機械で行っている。始めて見るものだ。台に道具機械が設置されている。見ていると蝶番から開けていく。一番厳しく締まっているところから開けるのだ。しかし、マガキに比較して開けやすいと教えてくれる。だが、ここは今まで訪問した世界各地のオイスターバーとは異なる。雰囲気がない。魚屋という感じ。レストランという感じが全然しない。
この店で食事するところは地下である。一階の牡蠣剥きしている足もとの床に穴が空いていて、そこから下に降りる。急階段。物置の中に降りるという感じ。多分、昔は地下倉庫だったと思う。地下に降りる階段が物置用の簡単なもの。気をつけないと足を滑らして落ちてしまう。危険だ。先客が一組いる。
シ ャ ン パ ン と 白 ワ イ ン
案内してくれた地元の人が、牡蠣には、まずシャンパンだといい、MIGLEL TORRESというシャンパンを出してくる。これで乾杯し牡蠣を食べてみる。シャンパンが牡蠣に合うというが始めての経験だ。しかし、自分に合うかどうか分からないので、警戒して少しだけ飲んでみる。炭酸系だから合うかもしれないと思う。
食べたのはチリ産のヒラ牡蠣。チリ牡蠣と言う。チリにしか存在しない。小さいが味は渋くてコクがある。なかなか美味い。白ワインがようやく出てきた。AMAYNA アマイナ。これが甘い。牡蠣には合わない。しかし、牡蠣には白ワイン、お腹の消毒によいと信じているので我慢して飲む。
ウ ニ は 安 い
このように牡蠣を出すレストランはサンティアゴに3から4軒しかないという。とても少ない。牡蠣は高級料理。せいぜいチリ全国で三万人くらいしか食べないだろうと、地元の人が言うが、これは人口1600万人のチリでも少なすぎると感じる。
次にウニが出てくる。あまりうまくない。ウニはERIZOエリッソといい、この店の価格が3900ペソ。日本円にするためT/Cを両替したレートで換算すると4.6になり、これで割って計算すると847円。皿に盛りだくさんだから安い。チリのウニは日本が最大の輸出先だという。
パ ン の 食 べ 方
さて、牡蠣には必ずパンがついてくる。そのパンの食べ方はちぎってオリーブ油つけて、これもアボガドのものと普通のオリーブがあって、そこにチリ産の天然塩に唐辛子を混ぜたものをつけて食べる。なかなかチリの田舎風でうまい。
チリワインの歴史は1850年ごろにフランスから苗が来た。1880年代にフランスの苗が全滅し、チリから持っていった。今は繋いで育てている。クローンだというがチリのワインの評価は高くなっている。金額換算で世界第四位の収穫量だ。
チ リ 編 〜 そ の 3
牡 蠣 養 殖 基 地 プ エ ル ト ・ モ ン
チリの牡蠣養殖基地に位置づけられるのは、サンティアゴから約1000キロ南に下ったプエルト・モンPUERTO MONTTである。ここに行くには飛行機で1時間40分かかる。
飛行機内に入ってみると、客はチリ人の白人のみ。従って、機内の荷物はペルー人より少ない。ペルー人は親戚にお土産多くバックが大きい。ここはスペイン系白人国であり、中進国から先進国入りを目指している国なので、ヨーロッパよりは少し荷物が多いかなと思う程度。あえて日本との違いを言えば機内で座るまでが少しざわつく程度である。実際の牡蠣養殖はプエルト・モンから55キロ離れた島、チロエ島が主なる地域であるが、ここについては後でお伝えしたい。
チ ン キ ウ エ 公 社
さて、プエルト・モンに着くと、チンキウエ公社 FUNDACLON CHINQUIHUEの生産部長が出迎えてくれた。チリに通算三回勤務の13年間。47歳の誕生日迎えたばかりの柔道二段の人物。頼もしい。現地の漁師より漁師らしい。驚いたのは半そで。一年中このスタイル。地元のチリ人もビックリ。南半球の7月は冬で、今日はマイナス二度になったというのに。
確かに寒い。しかし、この地方にしては珍しく太陽が出ているので陽だまりは暖かい。バスだとここまではサンティアゴから12時間かかる。街の経済は鮭と鱒の漁業景気でよいらしい。家並みは杉の木の正目上にカットして、うろこ状に小さい木を壁に張る独特の板塀の家並みが続く。人口は20万人。
ア ン ヘ ル モ
まず、魚市場のアンヘルモANGELMOへ行く。漁村である。観光客も相手にするので、土産屋もあり海産物が大量に並んでいる。アワビ、ウニ、カニ、コングリオ(キングクリップ)レイラィツタ(マナガツオ類)トージョ(サメの類)ベスカーダ(ニベ類)ペヘレイ(トウゴロウイワシ科)等が並んでいて、その場で調理してくれる。見事な包丁捌きだ。
食事ができるような店も並んでいる。クラントCURANTOという料理。内容は数種類の貝とジャガイモやソーセージ等を一緒にグツグツ煮込んである。
野 良 犬
陽だまりに野犬がのうのうと寝ている。それを写真撮ると生産部長が言う。地元の人が日本人はよく犬を写真に撮ると言う。どうして写真撮るのかと聞かれる。日本には犬はいないのかとも聞かれる。答えは日本には野犬がいないから、首輪もなくその辺りふらついている野良犬は珍しいのだ。日本では野良犬は市役所に連れて行かれて処分されてしまう。こちらの犬は狂犬病の注射をしていないと言う。だから、犬に咬まれると、慌てて人間が病院に行き狂犬病の注射してもらうことになる。日本と逆だ。また、犬は道路に寝込んだ酔っ払いを咬み殺したり、羊を襲うので市が取り締まりしようとしているが予算がないので中止とのこと。だから野良犬は観光客が多勢通る道筋に大の字になって寝ている。それが日本人にはとても珍しい光景で、犬好きの人が写真を撮るということになる。なお、猫は見かけない。少ないようだ。
チ リ の 富 士 山
(オソルソ山)
ここから見える富士山そっくりのオソルソ山OSORNO 2652mが美しい。本当に富士山そっくりにビックリする。地元の人もフジといっているらしい。
市場でイガイが三種類。そのイガイは生で食べる。買ったばかりのイガイを地元の人が実際に食べている。隣にチリ牡蠣が並んでいる。大きい箱のものが16個入りで6000ペソ、一個375ペソ(81円)。小さい箱が4000ペソ一個250ペソ(54円)。チリ牡蠣は成長が遅い。4年から5年かかる。5年経ってもまだマガキに比べて小さい。また、カドニウムが多く入っているらしい。火山地帯なので重金属が多いのだ。これが輸出できない最大の理由。
暖 房 は 薪
この辺りの家並みに煙突が目立つ。煙が上って街中が煙い。暖房は薪。懐かしい煙い風景だ。可児さんのところではトラック一杯で冬の間20,000ペソ(4300円)ですむ。石油だと10万ペソ(21,700円)かかる。薪材はデバ、松、アレルセなど。自然環境団体から文句が出そうだが、石油を採って燃やしているのと、どちらがひどい自然破壊か。薪はまた植えれば育つから、こちらの方がよいという論理もある。世界にはいろいろな生活方法があるので、日本の実態だけで一概に結論付け出来ないと思う。
チ リ 編 〜 そ の 4
チ ロ エ 島
いよいよ牡蠣養殖の本場、チエロ島へ生産部長のスズキ車で向かう。プエルト・モン南西から55キロ。フェリーで渡る。チエロ島ではフスト・ガルシアさんFUST GRACIAの養殖場を視察した。
真向かいに牡蠣研究所があって、その先の海で牡蠣養殖をしている。ここで養殖するために、海の使用許可を取るのが大変だった。国から借りるのだ。使用届書、生産方法、何年もかかったという。
牡 蠣 ・ ア ワ ビ ・ ホ タ テ ・ イ ガ イ を 養 殖
この海の干潮差は六メートル。海の干潮は南半球でも北半球でも同じ。海と時期によって大潮・小潮となるだけと生産部長が説明してくれる。これは知らなかった。
しかし、月は反対に見えるという。フスト・ガルシアさんと生産部長は友人である。ここで牡蠣・アワビ・ホタテ・イガイを養殖している。
フスト・ガルシアさんから聞くと、以前は六ヶ所のチリ牡蠣養殖場があったが、今は四ヶ所となっている。フスト・ガルシアさんは20年前潜水夫だった。つまり、この地区の漁業者。一人一人が海に潜ってアサリと牡蠣等を採って生計を立てる職業。それが可児さんと知り合って、技術指導受けてここで養殖を始めた。
チリでは衛生法が改正になり、生ものを食べるのが制限された。牡蠣は眼の前で剥いたものしか食べていけないことになった。その結果、国内消費が落ちている。チリ牡蠣は天然ものと養殖ものが市場にでている。今はまだ天然ものが採れるが、このまま採り続けていくと、四五年後には絶えるだろうと心配している。そうなると養殖ものだけになると思われる。
ロ ン グ ラ ン 方 式
(ロングラン方式)
養殖方法は、プラスチック製の8センチくらいの筒を、紐でつないだものにホタテ貝に稚貝をつけて海につるす。一つのホタテに50個つくが、最後に8個くらいなったところで、ロングラン方式にする。ロングラン方式とは、発泡スチロールの塊を海に浮かべ、それに紐をつけ、碇をつけ流されないようにして養殖する方式である。筏の替わりに発泡スチロールの塊を使う。
ここは北風が強いので、北側に山並みがあるこの湾が養殖に適切だと選定したという。台風はない。それまでチロエ島の養殖は、海が川となって入り込んだところ、つまり、静かな海で養殖していた。
フスト・ガルシアさんが牡蠣を養殖している浜辺には、牛が放し飼いになっている。どこの牛か知らないとフスト・ガルシアさんが笑う。ここでは犬はつながれているが、猫の親子が遊んでいる。のどかなものだ。フスト・ガルシアさんのところは、男三人と女一人の社員がいる。いずれも6年勤務している。
さて、ロングラン方式は120メートルの紐に8万個から10万個の牡蠣をつける。チリ牡蠣は成長牡蠣になるのに4年かかる。1年で8万個から10万個採れる。マガキは20万個採れる。マガキは1.5年で成長する。イガイも1.5年。
ここでの採苗はコンクリートのプール、4メートル四方程度のもの、ここでチリ牡蠣は12月から1月、マガキは9月から3月。ここから海に出すタイミングがポイント。これを生産部長に相談して決めるのだ。
大 き さ で 区 別 す る
出荷先は仲買人を通してスーパーへ。これが80%。レストラン・市場が20%。仲買人から週二回電話があり、チリ牡蠣52個が二キロであるが、これを袋に入れラベル貼ってプエルト・モンの仲買人のところへ運んでいく。小はビクトリアといい4.5センチから5センチ。中はコリエント(普通品)といい5センチから5.5センチ。大はセミエクポルタといい5.5センチから6センチ。エクポルタシオンは6センチ以上。しかしこの大は実際にはない。
マガキは7センチ以上しか出荷しない。昔は重さで行っていたこともある。お金は30日後の小切手で受け取る。その際に10%の金額がカットされる。仲買会社は二社ある。この10%の手数料は仲買で洗浄したり砂を取ったりするコストである。最初に聞いたときは力関係で搾取していると思ったが、実際に仲買のアクアプロAQUAPURO社に行き、洗浄と出荷体制を見学してみると納得できる。中には砂を多くし重量を重くする漁民もいるらしくチェックしているのだ。
あわびも養殖している。あわびは一個1200ペソ(260円)で売れる。チリ牡蠣は一個40ペソ(9円)。マガキは7センチ以上で1個70ペソ(15円)。なまこの養殖も研究中。マガキは編み式も併用して養殖している。島内の別の海では地蒔きで養殖しているところもあるので、結局、牡蠣養殖方法は「ロングラン方式」「地蒔き方式」「網式」の三つが混在している。
半 端 で な い 悪 路
チロエ島の本通りはすべて完全舗装された立派な道路であるが、養殖場に入っていく海への道は、ガタカタ道路で、そこを生産部長のスズキ車で走る。道路は結構起伏があり、半端でない泥と水で埋まっている。坂の途中で車を止めるともう終わりである。滑って坂を上れなくなるので突っ走るしかない。久し振りに悪路を経験した。昔の日本はこうだった。懐かしい。
チ リ 編 〜 そ の 5
チ ン キ ウ エ 公 社
(チンキウエ公社)
チンキウエ公社FUNDACLON CHINQUIHUEに行く。雨風が強い。これが冬の普通の天気だ。昨日までのチロエ島の牡蠣養殖場視察は、1年に何回もない晴れすぎの出来すぎ天気で、晴れ男だとほめられる。ラッキー。
ここの冬、風が強い日は、煙突の煙が逆風となって家の中に入ってくることもあり、これが火事を発生させることもあるらしい。自然が毎日変化し「動く絵葉書」で自然は飽きないと、生産部長が言う。
チンキウエ公社のチンキとは島の意味、ウエとは場所のこと。ここはJICAが89年に建設した港波止場の魚陸揚げ場所兼倉庫。大きい施設。公社が借りている。オフィスには、海洋生物学部を卒業したチリ人女性と、エルサルバドルから研修に来ている若い男性がいる。
ア ク ア プ ロ 社
チンキウエ公社が出来たときは周りに何もなかった。しかし、今は向こうに新しい施設、そこは船からトラックでそのまま陸揚げできるので、そちらの方が多く利用されている。あちらは民間施設。だから、公社の魚陸揚げ場所兼倉庫施設の活用が少ないので、仲買会社に貸している。
アクアプロAQUAPUROだ。ここを見学する。責任者が説明してくれる。ここで浄化し出荷する。すべてチリで一番大きいリーデルLIDERスーパーにいく。アクアプロ社はそのためにリーデルスーパーがつくった会社。このスーパーは全国に90店ある。扱いはサケ、イガイ、フジツボ、カキ、ブラックタイガー、アサリ、ホヤ、ウニ、マキガイ、ホタテ、タラバガニ、エビ、ロコガイ、カニ、ヒラメ、カツオ、あじ、カジキ、タラ、イカ、そのほかにコロッケ、野菜も扱っている。とにかく多彩だ。
週に四回20トントラックでサンティアゴのセンターに、六ヶ所のスーパーには直接運ぶ。チリにはこういう会社は他にない。もう一つの大きいスーパーのジュンボJUNBOは直接各業者から買っていると言う。牡蠣はチリが20万個、マガキが3万個。全体の10%から20%。ところが問題は2年前には今の2倍あった牡蠣が減った。衛生法律によって、牡蠣は眼の前で直接牡蠣剥きする売り場でないと販売できなくなったからであると言う。
全国で牡蠣養殖業の会社はマガキが24社、チリが12社。これは養殖免許があるという意味である。市場での人気はチリ牡蠣の方である。チリ人は小さくて周りの外套幕が黒いのが好きだ。チリ牡蠣は国内消費だけになっている。
アクアプロ社の方針は「効率のよい養殖場をつくり、コストを下げ提供する」とのこと。
ス ー パ ー
次に、サンティアゴのスーパー売り場を紹介する。JUMBOスーパーの魚売り場に行ってみると、冷蔵ケースに既に剥いてあるハーフシェルが並んでいる。価格を見ると、チリ牡蠣が16個で3504ペソ、一個219ペソ(48円)、小さいほうが30個で2970ペソ、一個99ペソ(22円)。箱に入れて上を透明紙で覆う。そこに剥いた日時が2006年7月29日11:15分とあり、賞味期限は7月30日と表示されている。売り場に来た時間は7月29日の12時だからまだ剥いてまもない。マガキはない。牡蠣剥き機で仕事している若い男性に聞くと、一週間にマガキは500個しか入ってこないので、すぐに売れてしまうという。
地元の人に聞くと「マガキは輸出に廻っている」という。マガキの生産量は2003年が3662トン。2001年は7089トンあったのだから49%減である。半分になるには大きな理由があるはずだ。それが分からないので、養殖専門家に問い合わせたが回答は来ない。
チリ牡蠣の方は2003年で211トン生産。少ないがこの生産量は2001年が229トンだったから横ばいだ。このJUNBO店頭でチリ牡蠣を一日8000個から10,000個剥くという。
ちょうど買いに来ていたお年より男性は、牡蠣は時々食べるし、今日は土曜日なので家族三人で特別ソースをつくって、白ワインで楽しむと言い、牡蠣は高いのでいつもは食べないとも言う。今日は12個包んでもらった。JUMBOスーパーはチリ全土に20店くらいあるらしい。しかし、この店は客が多い。昼時なのに人が一杯。巨大店だ。日本のイオンスーパーに似ているつくり。アメリカのスーパーを参考に作ったのだろうと思う。
牡 蠣 専 門 店
次に行ったのは、牡蠣専門店である。牡蠣と冷凍海産物を販売している。チリ牡蠣は100個単位で小が10000ペソ(2170円、一個21円)。中が14000ペソ。SEMI EXが18000ペソ。EXPORTが24000ペソ。スーパーが27000ペソ。特大は今はないが35000ペソ。マガキも見せてくれる。チロエ島のマガキ。特大。これは一個350ペソ(76円)。水槽の中に牡蠣が保管されている。あまりよい水でない。マガキの食べ方はチーズをのせてオーブンで焼く。またはクリームをのせてオーブンで焼く。
牡蠣の入荷は、毎日入ってくる。1.5日前に注文すると入ってくる。一日1400個売れるという。ということは1400個÷100個=14人の客と考え、14人×平均単価を18000ペソとすると=252,000ペソ÷4.6=54,782円×月23日営業=1,259,986円の売り上げとなる。
次に同業店に行く。QSTRAS AGUAS DEL PACIFICO。今日は100個8000ペソの売り出し看板が出ている。天然の牡蠣を扱っているという。週に二回入ってくる。ここは一個200ペソから100個8000から12000.17000となっている。客がテーブルで12個セット食べている。レモンと小さいグラスの白ワイン、それにパンとバター。中年紳士が100個剥いてもらっている。今日は8人でパーティすると言う。牡蠣は大好きだと言う。もうひとりスタイルのよい若い女性が入ってきて、後で来るかもしれないと言って出て行く。5時に閉めるが電話くれれば開けておくと、店の奥さんが伝えている。チリ人は見かけは厳しい顔しているが、話せば皆さん親切である。