西宮市貝類館訪問

世界牡蠣研究家 山本紀久雄


 牡蠣は貝類である。当たり前のことであるが、今まで牡蠣のことばかり検討してきたので、貝類全般について概要をつかむたく「西宮市貝類館」を2012年9月に訪問いたしました。訪問に当っては「世界の牡蠣事情」の香港取材でお世話になった、国立民族学博物館名誉教授の周達成氏から、「西宮市貝類館」の学芸員の大谷洋子さんをご紹介いただき、ご説明を受けてまいりました。

 西宮市貝類館は1999(平成11)年5月7日に開館しています。
建築家 安藤忠雄氏の設計によりヨットの帆をイメ-ジした外観を持ち、館内は海の中を思わせるようなブル-で統一されたユニ-クな貝類専門の博物館です。日本貝類学の礎を築いた黒田徳米博士の学術資料を核としており、「みて きいて ふれて」 楽しめることをねらいとして2000種、5000点の貝を来館者向けに分かりやすく展示しています。

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(西宮市貝類館)

貝の誕生

 貝は今から5億年以上も前の古生代カンブリア紀に誕生し、初期の貝殻は笠型をしていたと考えられています。その後進化を続けて、以下の7つのグループに分化しました。
 ① 巻貝類
 ② 二枚貝類
 ③ ツノガイ類
 ④ ヒザラガイ類
 ⑤ 頭足類(イカ・タコ類)
 ⑥ 単板類
 ⑦ 無板類
種類は約10万種、今では昆虫をふくむ節足動物につぐ大きな動物群です。

貝類の進化

 貝類の進化は今でも続いて、その一例がナメクジ化です。
貝の中には、貝殻を退化させるという進化をたどる種類が見られ、これがナメクジ化です。例えば、海では、貝殻をすてたイカやタコが、進化の点で一番の秀才で、ウミウシ類も貝殻をすててナメクジ化しました。陸でも、貝殻をすてた多くの種類のナメクジが、世界の各地に生息しています。また、熱帯や亜熱帯地方では、軟体部が完全に殻の中におさまらないカタツムリが多数見られます。

これらの種は、貝殻をすててナメクジ化することによって、種の存続をはかろうとしているのです。数十万年後には、現在では見られないいろいろなカタツムリやナメクジが生息しているといわれています。

館内展示

 館内展示の様子をご紹介します。
日本の貝、大西洋の貝、インド・太平洋の貝等多くの貝類がわかりやすく展示されています。

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 また、隣接している西宮浜公民館との間にある中庭には、海洋冒険家である堀江謙一氏から寄贈された実物の「マーメイド4世号」が展示されています。

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 貝類全般に関心持つことが、牡蠣に関しても理解を深めると思いますので、是非、一度訪問されると参考になりますので、ご推薦いたします。

所在地

〒662-0934  西宮市西宮浜4-13-4 TEL:0798-33-4888 FAX:0798-33-5885

交通案内

• 阪神西宮、JR西宮、または阪急西宮北口駅から阪神バス、マリナパ-ク行きに乗車、マリナパ-ク南下車すぐ(所要時間 約20分)
• 阪神高速神戸線 神戸方面より西宮出口から南へ10分、大阪方面より武庫川出口から43号線を西へ札場筋を南へ10分
• 阪神高速湾岸線 神戸方面より芦屋浜出口から測道沿い西宮浜へ3分、大阪方面より西宮浜出口から南へ3分