日本古来の伝統
- 一万二千年前の世界最古の土器は日本で作られた。備前焼の豊かな伝統は五世紀にまでさかのぼる。備前焼は日本六古窯の一つであり、鎌倉時代(1185-1333)以来、窯が休んだことが無いと言われている。
天然で簡素
- 備前焼には備前の土のみが使用されている。新鮮な土で作られた器は1250°Cの窯でゆっくりと八日から十日間にかけて焼かれる。窯の中の位置により、異なった向きの熱風が薪の灰を融かす。このようにして焼物は独特の茶褐色の自然釉が出来る(窯変)。職人や芸術家は焼く前に部分的に火があたらないように陶器を覆い独特の模様を作り出したりすることで個性を加える。
貴重な趣き
- 備前焼は簡素で質朴な陶器であるが、陶器愛好家は独特の美が備わったその控えめさに魅力を見いだしていると言えよう。逸品の中にはとても高価なものがあるが、多くはシンプルな日常陶器である。そのような日常的陶器でも時間が経つと特有の古趣を得て、貴重品となることもある。